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高価格、高齢化が支える日本の末梢血管用デバイス市場の成長。更に優勢を強めるボストン・サイエンティフィック社

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日本の末梢血管用デバイス市場は、末梢動脈疾患(PAD)患者数が多く、今後も増加が予想されることに加え、新たな次世代製品が登場しつつあることから、予測期間中、ある程度の成長が見込まれます。ただし欧米市場に比べると承認される製品が少ない点がマイナス要因といえそうです。従来、言語の壁、規制当局の厳格な基準、複雑な登録プロセスが日本市場参入の大きな障壁となっており、多国籍企業のグローバル戦略においては、日本は欧米市場に比べ優先度の低い国とみなされる結果となり、新製品の日本参入にさらなる遅れが生じています。

とはいうものの、市場は薬剤コーティングバルーン(DCB)、薬剤溶出性ステント(DES) 、慢性完全閉塞(CTO)病変通過ガイドワイヤなどの高価格デバイスの採用に支えられるでしょう。こうしたデバイスの使用を裏付ける新たな臨床データが発表されたことを受け、採用の割合が高まりそうです。たとえば、Lutonix BTK 試験では膝下動脈でのDCB使用の有用性が示され、DCBの使用の伸びが予想されます。

Katsanos studyの影響は欧米に比べ少ない

パクリタキセルを塗布したDCBとDESの使用をめぐっては、2018 年のメタ解析結果を受けて(以後”Katsanos study”と表記、Katsanos K, 2018)懸念の声が上がっており、末梢血管用ステントおよびPTAバルーンカテーテル市場にいくらかマイナス影響をもたらしそうですが、日本における影響は欧米市場ほど深刻ではないと思われます。

日本の末梢血管用デバイス市場の成長は、人口高齢化などの人口統計学的要因にも支えられそうです。高齢化に伴い、治療を必要とする末梢血管障害患者数の増加が予想されます。

2019年、当市場の首位に立ったのはボストン・サイエンティフィックでした。同社はPTAバルーンカテーテルと塞栓防止デバイス(EPD)で市場一位のポートフォリオを擁しています。幅広い製品群で肯定的な臨床データを示し、医師の間での認知度が高いことが勝因です。

さらにボストン・サイエンティフィックは2018年に発売されたEluvia DESによっても優位に立つでしょう。同製品は、従来DES 市場を圧倒してきたクックメディカルのZilver PTX DESの強力なライバルとなる見込みです。ボストン・サイエンティフィックに対する高い評価と末梢血管用デバイス市場を網羅する幅広いポートフォリオによってこの新たなプレミアム製品の堅調な売上が見込まれ、末梢血管用デバイス領域での同社の優勢がさらに確実なものとなりそうです。

さらに優勢を強めるか?ボストン・サイエンティフィック社

2019 年、末梢血管用デバイス市場全体の2位はカーディナルヘルスでした。同社は当市場において最大のセグメントである末梢血管用ステントで首位に、さらにEPDおよびPTA バルーンカテーテルセグメントでも相当のシェアを握り、優位に立っています。

先ほど述べたように日本の末梢血管用ステント市場では、パクリタキセル塗布バルーンとステントに関する“Katsanos study”の結果を受けてある程度のマイナス影響が予想されます。これらのデバイスの安全性に関する医師と患者の懸念から、採用はいくらか伸び悩みそうで、DCBおよびDES製品を提供する企業においては収益可能性が制限されることも予想されます。全体的な市場シェアにも影響が及びそうです。ただしインタビューに協力した医師たちは、Katsanos study試験の影響は日本では欧米における影響ほど大きくなく、各社のシェアにさほど大きなマイナス影響は及ばないだろうという見解を示しています。

本市場では、各社ともDCBまたは浅大腿動脈(SFA)や近位膝窩動脈病変治療のためのDESなど、より高い収益可能性をもたらしうる製品開発に焦点を置いています。たとえば、ボストン・サイエンティフィックは、2018年に日本でEluvia DES を発売しましたが、Ranger DCBを評価する国際的な治験も実施中で、初期成績は肯定的です。Rangerが市販されれば、末梢血管用ステントとPTAバルーンカテーテル市場の両方で競争でき、同社の収益可能性はかなり高まりそうです。

出典: 高価格、高齢化が支える日本の末梢血管用デバイス市場の成長。更に優勢を強めるボストン・サイエンティフィック社

発行元:Decision Resources Japan株式会社
発行日:2020年1月20日

この記事は、Decision Resources Japan株式会社が発行したオリジナル記事を承諾を得て掲載しております。

出展レポート

この記事は、弊社が発行したレポート「Peripheral Vascular Devices – Japan 2019」のExecutive Summaryを翻訳したものです。同レポートでは、米国の画像診断機器市場について2027年まで分析・予測しています。

 

【英文レポート】Peripheral Vascular Devices – Japan 2019
発行;ディシジョン・リソーシズ・グループ
価格; USD 12,280

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