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多発性硬化症、診断されるも薬物治療開始は3割程度。米国リアルワールドデータで明らかになるMS治療市場【DRGレポート】丨DRGブログ

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ディシジョンリソースでは、リアルワールドを解析し、米国における多発性硬化症(MS)の治療実態を明らかにした。この投稿のもととなった調査は2019年第1四半期にディシジョンリソースで実施、「多発性硬化症 | 治療アルゴリズム:クレームデータ分析」Treatment Algorithms: Claims Data Analysis in Multiple Sclerosisで本年6月に発行されている

多発性硬化症の治療にあたっては、患者の異質性が高く病態が多様であるため、医師による患者それぞれに適した治療方針を決定することが必要で、治療過程は多様かつ複雑である。各薬剤のプラス・マイナスの特性を考慮し、いずれの薬剤も受け入れられてきましたが、現在、米国において多発性硬化症に対する疾患修飾薬(DMT)が10品以上が使用可能で、新製品が発売されるたび、各社とも自社製品のポジショニングを再検討する必要性など、市場は混戦状態にある。

一方で、十分な効果が得られなかった場合に、より高い効果の期待できる薬剤に切り替えていくエスカレーションセラピー、非常に高い有効性の薬剤による早期介入のどちらが望ましいかという点には議論が残されています。

ファーストラインでのDMT治療には慎重。2年以内での開始はわずは3割

米国の多発性硬化症に新規に診断された患者のうち、2年以内に承認済みの疾患修飾薬(DMT)の治療を開始するのはわずか29.4%で、開始をした患者の開始時期の平均は6カ月以内(160日)であった。米国においてDMTの治療の開始にあたっては慎重で、多くの患者が診断後2年経っても投与されていない現状が明らかになった。

ファーストラインでDMTが選択される割合が低い理由としては、早期、軽度の再発患者や患者は2度目の再発または臨床的に確実に診断された場合(CDMS)まで治療を遅らせることを選んでいる。診断された初期(CIS)の段階で患者自身が多発性硬化症であるとの診断をすぐには受け入れられない、または長期の高額治療の開始をためらう、もしくは拒んでいるなど、多くの要因が考えられます。

ファーストラインでも最も処方されているDMTはコパキソン40 mg

昨年のDRGによる分析結果と同様に、ファーストラインで最も多く処方されているDMTはコパキソン40 mg(31.5%)、次いでテクフィデラ(21.9%)であった。この結果はいずれの薬剤もCISとRR-MS(再発寛解型MS)患者に対するシェア首位を占めているというDRGの調査結果と合致した。

コパキソンは長い使用実績と簡便な40 mgの剤形という利点で、ジェネリック薬との競争にもかかわらず、ファーストラインでの使用を伸ばすなど早期ラインで相当の患者シェアを維持してる。全体的には、ポリペプチドクラスが全ての治療ラインで患者数シェア首位を維持、一方、テクフィデラは強力な総合的臨床プロファイルに支えられ、経口DMTクラスのファースト、セカンドラインの首位を維持している。

後期治療ラインでの圧倒的な地位を維持するOcrevus、ファーストラインでもシェアを伸ばす傾向

Ocrevusが、後期治療ラインにおける圧倒的な地位を維持しつつファーストラインでもシェアを伸ばしている。Ocrevusは2018年第4四半期のファーストラインでの患者シェアが5.8%と堅調な伸びを見せつつ、セカンドラインでは20.0%、サードラインで26.1%と、DMT全体でのシェア1位となっている。

Ocrevusは多くの場合、別の薬剤から変更する場合の候補薬となっており、適切な再発または進行患者に対し早期ラインで使用される可能性があることが使用されることが、同時に行った最新治療を受けた患者への分析で、Ocrevusが他の経口、点滴、注射剤などのシェアを奪いつつ勢力を拡大していることが明らかになった。Ocrevusがセカンドラインで急激にシェアを伸ばす一方で、有効性の高いモノクローナル抗体タイサブリのシェアにはほとんど変化が見られていない。

経口薬がシェアを獲得。経口剤の簡便さが利点に

テクフィデラを主とする経口のDMT治療薬が、ファースト、セカンド、サードライン合計で35~40%のシェアを獲得している。注射を嫌がる患者、自己注射に疲れた患者、自己注射の経験のない新規患者においても経口薬が簡便さの点で明らかに有利である。テクフィデラ及びジレニアは、注射剤を上回る有効性を有しており、インターフェロンクラスの使用の減少は経口薬によるものと思われます。しかしながら、Ocrevusのシェア獲得の勢いが勝っており、いずれの治療ラインでもほとんどの経口DMTは前四半期比で縮小している。

2年間での調査中、セカンドラインに進んだ患者は10%未満。治療選択肢の個別化と有効性の評価への長い時間

2年間の追跡期間中、ファーストライン以降に進んだ患者はごくわずかで、新規診断の全MS患者のうち、セカンドラインにすすんだ患者は8.7%であった。サードラインに進んだ患者は1.9%であった。これは、多数の効果的なDMTの使用が可能であるとともに、有効性が数年間にわたって持続することがこの結果に示されてる。そして、特に活動性が低い患者の場合、DMTの有効性。またはその欠如を評価するのには、長期間を要することから治療変更までの期間が長いのだとも考えられます。

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出典:多発性硬化症 | 治療アルゴリズム:クレームデータ分析|米国【DRGレポート】
Treatment Algorithms: Claims Data Analysis in Multiple Sclerosis

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