承認確率が低い頭頚部がんの治療分野でもチェックポイント阻害剤が主流に。キイトルーダが牽引

頭頸部がん(HNC)は、口腔、咽頭、鼻、副鼻腔、唾液腺の細胞から発生するがんと定義されています。これらのがんは、病因、病状、症状が類似していることから、グループ化されています。これらの癌の大部分(90%以上)は、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)と総称され、粘膜を覆う扁平上皮細胞に発生します。2021年7月にDatamonitor Healthcareから発行となった「Disease Analysis: Head and Neck Cancer」から、疫学、治験状況、市場状況などレポートの一部を日本語でご紹介いたします。

疫学考察:頭頸部がん2027年には世界で96万人に増加する予測。75%が男性。チェックポイント阻害剤が主流となる頭頸部扁平上皮がんの治療薬市場

同レポートによると2018年の頭頸部がん(HNC)の罹患者数は世界で88万700件と推定、2027年には罹患件数が96万7000件に増加、世界におけるHNCの診断の大半(75.2%)は男性であると予想しています。頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)に続いて多いサブタイプである鼻咽頭がんは、東アジアでは広く見られますが、欧米諸国では比較的まれです。

現在の頭頸部がんの患者は、ほとんどの場合、手術、放射線治療、および/またはプラチナベースの化学療法で治療されます。切除不能な 頭頸部扁平上皮がんのファーストラインおよび再発・転移性のセカンドラインを対象として、アービタックス(セツキシマブ)の単剤および化学療法と放射線療法との併用が承認されています。アービタックス(セツキシマブ)は、かつては全身療法の主要ブランドの一つでしたが、現在は、チェックポイント阻害剤に取って代わられつつあります。

頭頸部扁平上皮がんは、免疫原性が高く、免疫チェックポイントモジュレーターの発現が上昇しています。そのため、標的治療プログラムを可能にするチェックポイント阻害剤の開発に大きな関心が寄せられ、多くの治験も進んでいます。

再発・転移性頭頸部扁平上皮がんに対して最初に承認された免疫療法は、抗PD-1/PD-L1免疫チェックポイント阻害剤であるキイトルーダ(ファーストラインおよびセカンドライン)とオプジーボ(セカンドラインのみ)です。キイトルーダは、米国において再発・転移性のHNSCCの1次治療および2次治療に使用できます。また、英国NICEの初期の否定的なガイダンスが撤回されたことで、英国でも広く使用されるようになりました。キイトルーダに対して、オプジーボは、再発/転移性の頭頚部扁平上皮がんのファーストラインにおいて承認を目指し、キイトルーダに挑戦しようとするものです。

局所進行性頭頚部扁平上皮がんでの開発動向

キイトルーダは、潜在的な利益をもたらすであろう局所進行性の頭頚部扁平上皮がんでフェーズIII試験を複数行っています。

KEYNOTE-412では、キイトルーダと化学放射線療法を併用し、切除不能な頭頚部扁平上皮がんの維持療法として評価しています。この治療法は、JAVELIN100試験でバベンチオの臨床試験が中止されて以来、ほとんどの治験がなされていません。

KEYNOTE-689では、切除可能な頭頚部扁平上皮がんに対するネオアジュバント療法および標準的なアジュバント療法との併用療法としてキイトルーダを評価しています。これらの領域で成功すれば、他の追随を許さない有効性を示すこととなります。

新たに診断された局所進行性の頭頚部扁平上皮がんを対象に第3相開発中のPD-1/PD-L1抗体には、テセントリクがあります。IMvoke010試験では、切除可能な局所進行性頭頚部扁平上皮がんに対するテセントリクの単剤アジュバント療法を評価しています。局所進行性の頭頚部扁平上皮がんに対してチェックポイント阻害剤を単剤で使用することにより、プラチナ製剤を用いた化学療法の毒性を回避することができ、魅力的な選択肢となる可能性があります。

一方で、頭頸部扁平上皮がん治療薬の開発は非常に難しく、第3相から承認まで進む確率が平均23.8%であり、オンコロジー領域の平均値47%よりも大幅に低くなっています。実際、イミフィンジ、ジオトリフ、バベンチオ、Retifanlimab、Enoblituzumabなどが頭頸部扁平上皮がんを治療対象の治験で失敗しています。

モナリズマブは、新規の免疫チェックポイント標的であるNKG2Aに結合する実験的なチェックポイント阻害剤です。今後も免疫チェックポイント阻害剤の開発が続けられ、承認される可能性があることからも今後、HNCにおいては、免疫チェックポイント阻害薬の優位性が確保されると考えられます。免疫チェックポイント阻害薬の優位性を脅かすものではありませんが、細胞障害性低分子化合物であるxevinapantやFTase 阻害剤 tipifarnibなどの実験的な治療法は、治療が困難な患者さんに治療の選択肢を提供する可能性があります。

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