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フォーミュラリーからスペシャリティ医薬品を除外―薬剤コストの抑制につながるのか|DRG海外レポート

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この記事は、AnswersNewsが発行した以下のオリジナル記事を承諾を得て掲載しております。

米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回は、薬剤コストを抑制するためにフォーミュラリーからスペシャリティ領域の医薬品を外す米国の薬剤給付管理会社(PBM)の動きを紹介します。

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

薬剤コストを抑制

フォーミュラリー(保険償還対象医薬品リスト)から特定の医薬品を外すことは、高騰する薬剤コストを抑えるために大手薬剤給付管理会社(PBM)が使う常套手段だ。保険者とPBMにとっては製薬会社と交渉する際の力となるが、薬の売り上げに大きな影響を及ぼし、患者も薬を切り替えざるを得なくなる。

エクスプレス・スクリプツとCVSケアマークの大手PBM2社は今年、それぞれ50と23の薬剤と米国内最大のフォーミュラリーから除外した。両社は毎年、フォーミュラリーから外す薬剤のリストを公表しているが、この記事では2019年の動きについて、ポイントをまとめる。

エクスプレス・スクリプツは50の薬剤を除外

エクスプレス・スクリプツ(ESI)は、フォーミュラリーからの薬剤の除外に引き続き積極的に取り組んでいる。スペシャリティ領域の薬剤をいくつか外し、後発医薬品やバイオシミラー、価格の安いブランド品の使用を促すことで、薬剤コストを圧縮しようとしている。2019年は、11のスペシャリティ医薬品や12の高額薬剤を含め、50の薬剤が同社のフォーミュラリーから除外された。

C型肝炎治療薬では、アッヴィの「マヴィレット」を除外し、メルクの「Zepatier」を推奨代替品として戻した。マヴィレットはZepatierよりも対象となるウイルスのタイプが広い。フォーミュラリーからの除外は患者アクセスに大きな影響を与える可能性があり、より高額な治療薬への切り替えが起こるかもしれない。Zepatierが推奨されたのは、メルクが最近、価格を6割引き下げたからだとみられる。

抗HIV薬では、ギリアドの「Atripla」を、価格の安い新規配合剤である「トリーメク」(ヴィーブ)や「Symfi/ Symfi Lo」(マイラン)に差し替えた。多発性硬化症治療薬では、「Betaseron」(バイエル)と同種薬である「Extavia」(ノバルティス)も外れた。

ESIはPBMとして初めて「Berinert」もフォーミュラリーから除外した。同薬は遺伝性血管性浮腫の治療に使用可能な4つの薬剤のうちの1つ。さらにESIは、第VIII因子製剤の「イロクテイト」「リコネイト」「Xyntha」「Solofuse」も外した。

偏頭痛の新薬では、カルシトニン遺伝子関連ペプチドを標的とした「Aimovig」(アムジェン)と「Emgality」(イーライリリー)をSafeGuardRx Migraine Care Value program(片頭痛治療重点プログラム)の一環としてフォーミュラリーに収載。テバの「Ajovy」は除外されている。

CVSは23の薬剤を除外

CVSは、ESIに比べるとフォーミュラリーからの除外には慎重だ。2019年は23剤を外し、4剤を戻した。

SGLT2阻害薬、SGLT2阻害薬/ビグアナイド配合剤のクラスでは、「ジャディアンス/ Synjardy/ Synjardy XR」を戻し、2018年は推奨されていた「Invokana/Invokamet/Invokamet XR」を除外。同じく2018年は推奨されていた成長ホルモン剤「ノルディトロピン」も「ジェノトロピン」に切り替えられた。尿糖試験紙のカテゴリーでは、推奨ブランドを「One-Touch」から「Accu-Chek」に変更した。

自己免疫疾患のカテゴリーでは、ファイザーの「ゼルヤンツ/ゼルヤンツXR」を戻した。血友病では「イロクテイト」「オルプロリクス」を外し、「アディノベイト」「Jivi」を追加。また、「Prolastin-C」「Zemaira」の2剤を肺酵素欠損症のクラスから除外した。

CVSは1QALY(質調整生存年)あたり10万ドルを超える価格で発売された薬剤をクライアントが除外できるプログラムの提供を始めた。これは、Institute for Clinical and Economic Review(臨床経済的評価研究所)が比較解析で決定したQALY比を使用するものだ。

除外戦略は次の段階に

ESIもCVSも、自社フォーミュラリーのスペシャリティ医薬品のカテゴリーでいくつかの除外を実行した。ESIは同社として初めて、HIVと第VIII因子製剤のカテゴリーで薬剤を除外。従来型製品の中では、CVSが糖尿病カテゴリーで多くの変更を行った。

ESIは低価格の抗HIV薬を除外したが、新たに始めたNational Preferred Flex(NPF)フォーミュラリーを介して認可された低コストの薬剤を導入したことは、同社のクライアントにとって利点となるだろう。ESIは、3886の薬剤を収載するNPFによって保険者のコストは2019年で約32億ドル、2014年からの累計で106億ドル削減できると推定している。

PBM各社がこうした新しいツールと技術を導入したことで、フォーミュラリーからの除外戦略は次の段階に進むとみられる。同様の動きが広がれば、除外される薬剤も増えていくだろう。

【AnswersNews編集長の目】

薬価をはじめ、医薬品のコストをめぐる議論が続く米国。今月はじめには、イーライリリーが主力のインスリン製剤「ヒューマログ」について、価格が半分のオーソライズド・ジェネリックを発売すると発表し、注目を集めました。

ご存知の通り、米国では薬価への圧力が強まっており、最近でも民主党議員らがメーカーに価格上昇の理由を説明するよう求める書簡を送付。米議会では主要メーカーの幹部を呼んでの公聴会も開かれました。トランプ大統領も2月の一般教書演説で薬価引き下げに言及しました。

薬価をめぐっては、PBMなどに提供しているリベートにも批判が集まっています。ブルームバーグ通信の報道によると、米議会での公聴会でメーカー幹部らは、リベートが患者の重い自己負担につながると主張し、リベートがなくなれば薬価を引き下げると話したといいます。

リリーのデビッド・リックスCEOは、ヒューマログのオーソライズド・ジェネリック発売を発表したプレスリリースで「われわれがインスリンに対して支払う多大なリベートは、患者に直接恩恵を与えるわけではない。これを変える必要がある」と指摘。「今回の発表が、米国医療制度全体の前向きな変化を促すきっかけになることを願う」とコメントしています。

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