皆さま、こんにちは。
「共二兼好(ともに)けんこう」です。前回は「一日三善」のお話しをしましたが、今日はそれに近い話です。同じく6月6日の「ガッテン」で驚いた内容が紹介されていたのは、「1日1万歩歩くご主人」よりも「自宅のサロンで友人とお茶を飲む奥さん」の方が健康に過ごせる可能性があるということでした。
これはBrigham Young UniversityのJ. Holt-Lunstad博士らによる一連の研究によるものですが、禁煙や禁酒や運動よりも「社会とのつながりの質と量」の方が、罹患率、死亡率、長寿への影響が大きいというものです。誰もが読める論文ということで、次を紹介します。
論文の内容としては、148の調査(参加者308,849人)の結果から、死因、初期の健康状態、既往の疾病など参加者の特徴に関するデータに加え経過観察期間の長さと社会関係の評価タイプなど調査特徴におけるデータを抽出して、統計処理をしています。
その結果、変量効果量の重み付け平均のオッズ比は1.50 (95%信頼区間1.42 – 1.59) となり、社会関係が強い患者において生存率が50%高くなる可能性があることが示唆されたというものでした。
この所見は年齢、性別、初期の健康状態、死因、観察期間に関わらず一致してみられました。
最も大きな差が見られたのは次の2件で、関連性が最も強かった「社会的相互作用が複雑な場合」(OR=1.91; 95%信頼区間 1.63 – 2.23)、最も弱かった「一人暮らしの場合」(OR=1.19; 95%信頼区間0.99 – 1.44)。
死亡率の低下に与える影響(オッズ)で比較してみると、
要因 | 有無のオッズ比 |
複雑な社会とのつながりがある | 0.64 |
社会からの支援を強く受ける | 0.63 |
禁煙(日に15本以下) | 0.53 |
心疾患の症状を持つ人の禁煙 | 0.5 |
飲酒(日に6杯以上) | 0.3 |
インフルエンザ・ワクチン | 0.25 |
心疾患のリハビリ | 0.22 |
身体活動 | 0.2 |
BMI | 0.2 |
高血圧に対する治療 | 0.13 |
大気汚染 | 0.05 |
逆の見方をすると、孤独な場合は早く亡くなるのか?ということにもなります。
ヘブライ大学の Shiovitz-Ezra らは、50歳以上のアメリカ人7,638人を対象に、4年間にわたり孤独と死亡率の関係を調査したところ、孤独な人は1.56倍(HR=1.56, 95% CI: 1.52-1.62)、慢性的に孤独である人では1.83倍(HR=1.83, 95% CI: 1.71-1.87)死亡率が高かった。
このように孤独な人は何らかの原因で早く亡くなるようですが、認知症にもなりやすいようです。
グローニンゲン大のJS Kuiperらによるメタ分析では、人との接触頻度が低いと認知症の発症のリスク比が1.57、孤独感はリスク比が1.58になることが判明しました。
最近はこれらの研究成果が紹介されていて、単に定年後は趣味や運動で長生きをするのではなく、近所との付き合いや趣味の友人との付き合い方を考えた方がいいという意見が多く出始めているようですね。
今日もお付き合い頂きありがとうございました。
共二兼好(ともにけんこう)です。製薬関連の仕事についておりますので、私は健康であることを重視しています。健康であることは、仕事で成果をあげるために大切。いくら高いモチベーションやビジネススキルがあったとしても、健康でなければ成果がでないからです。私のブログでは、最新の論文の発表情報も紹介しつつ、私のペンネームのようにみなさんと一緒に健康であるために出来ることを「徒然に」綴ってまいります。