フォーミュラリーってジェネリック医薬品使用促進のため? その意義を再確認

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フォーミュラリーは医療費、中でも薬剤費削減対策の一つですが、単にジェネリック医薬品を選択するための手法、といった印象がありませんか?フォーミュラリーの作成・運用は、2020年度の診療報酬改定では先送りになりましたが、今後も活発に議論されると思います。本記事では、フォーミュラリー導入の意義をいくつかの視点から再確認していきます。

フォーミュラリーの定義


ASHP (American Society of Health-System Pharmacists)のガイドラインによると、フォーミュラリーとは、「疾患の診断、予防、治療や健康増進に対して、医師をはじめとする薬剤師・他の医療従事者による臨床的な判断を表すために必要な、継続的にアップデートされる医薬品のリストと関連情報」とあります。日本では明確な定義付けはされていないようですが、一般的には、「医療機関等において医学的妥当性や経済性等を踏まえて作成された医薬品の使用方針」を意味するものとして用いられています※※
簡単に言うと、医療施設が「高血圧の薬は、うちでは〇〇〇〇〇と△△△△△を使用する」と決めること、あるいは、そうして決めた医薬品リストです。

※Tyler DS, et al. Am J Health Syst Pharm. 2008, 65(13): 1272-83.
※※「医薬品の効率的かつ有効・安全な使用について」(中医協, 総-4-1, 2019年6月26日)

フォーミュラリー導入の意義


たしかに、フォーミュラリーによって先発医薬品より安価なジェネリック医薬品が第一選択薬として選択されることは多いようです。また、地域でフォーミュラリーが作成されると、品目の減少と共同購入によって管理の効率化と経費の削減が達成できます。ですが、フォーミュラリーの作成の目的や、運用で得られる成果はそれだけに限りません。

<最適な医薬品の採用>


フォーミュラリーを作成するには、医薬品のプロフェッショナルである薬剤師の関与が必須です。冒頭に書いた定義にあるように、フォーミュラリーは医学的妥当性や経済性等の比較検討を踏まえて作成されるので、決して価格優先ではありません。たまたまジェネリック医薬品が第一選択薬になっていたとしても、それは、優秀な有効性や安全性を持つ医薬品であることが前提のはずです。

<医師の業務効率化>


同種同効薬が多くある領域で、医師が医薬品をいちいち比較検討する時間はないと思いますが、その比較検討の結果、選択された医薬品リストがフォーミュラリーです。要するに、それら医薬品を用いた治療が最適と判断されているわけですから、それは標準治療と同じ感覚です。あらかじめ選択された医薬品を即座に処方できるようになる医師は、従来よりも多くの時間を診療にかけられるようになります。

<薬剤師の業務効率化>


フォーミュラリー策定に際し、薬剤師の担う役割は重要です。あたかも診療ガイドラインを策定するかのように、クリニカル・クエスチョン(CQ)を決定し、それらCQに対してシステマティックレビューを実施して、リコメンデーションを作成し、それらをまとめ上げる、とするならば、大変なマンパワーです。
その結果策定されたフォーミュラリー下の医薬品管理業務を考えると、例えば在庫の管理業務や、在庫のスペースを効率化できるので、その分、服薬指導や薬物治療に充てる時間が確保できます。また、同種同効薬の選択肢がフォーミュラリーによって決まっているので、誤って違う医薬品を調剤してしまうようなエラーにつながるリスクは減るでしょう。

<ポリファーマシーや処方カスケード※※の回避>


地域でフォーミュラリーが運用されると、選択される医薬品の幅がある意味制限されますから、患者さんに処方される医薬品の種類は少なくなる可能性があります。また、患者さんのバックグラウンドや状態に応じた医薬品の有効性や安全性のエビデンスが蓄積される結果、ポリファーマシーや処方カスケードといったリスクが回避できるようになるかもしれません。

※ポリファーマシーは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態
※※処方カスケードは、医薬品の副作用を新たな病気と勘違いして、さらに医薬品を処方して(されて)しまうことが繰り返されて、最終的に重篤な状態に陥ってしまうこと

まとめ


フォーミュラリーが進むと、医薬品のマーケティングはどこを向くでしょうか。院内フォーミュラリーは各医療施設のカンファレンスで決まりますが、地域のフォーミュラリーはタイアップしている医療施設の合意が必要で、そこに地域の医師会や薬剤師会も加わると思われます。MRは各施設へのアプローチもさることながら、地域へのアプローチが必要となるでしょう。一方で、MRは、企業にとっては営業職なのかもしれませんが、医薬品の知識や情報を医療従事者に提供することが役割のはずです。MRが公平、客観的な立場で地域のフォーミュラリー策定に協力できれば、製薬企業の地域貢献が可能になります。直接的・短期的な自社製品の売り上げはともかく、間接的・長期的には、このような動きが会社と社会への貢献につながると言うと、きれいごとでしょうか。


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